5Sを実践するインド企業に訪問してきました
先日3日間で4社のSME(中小企業)の企業訪問をしてきました。
今回はチェンナイから離れて、コインバトールという都市に足を運んできました。
ここで出会った4社の企業は、今まで訪問したインド企業の中で一番すばらしい取り組みをしていました。
その取り組みは「5S」と呼ばれるものでした。
日本発祥の「5S」とは
- 整理(せいり、Seiri)
いらないものを捨てる– 整頓(せいとん、Seiton)
決められた物を決められた場所に置き、いつでも取り出せる状態にしておく– 清掃(せいそう、Seisou)
常に掃除をして、職場を清潔に保つ– 清潔(せいけつ、Seiketsu)
3S(上の整理・整頓・清掃)を維持する– 躾(しつけ、Shitsuke)
決められたルール・手順を正しく守る習慣をつける
(wikipediaより)
「5S」は日本で作られた業務管理の概念で、世界に普及している基本概念でもあります。
以前ゴミ問題の記事でも触れましたが、私たち日本人にとっては自然に身に付いている概念なので、そんなに難しいことではありません。
日本人にとっては、当たりまえにできていることといっても過言ではないと思います。
でも、この教育を受けていない、こういうマインドがない人にとって「5S」は難しい取り組みです。
今回訪れた2社はこの5Sをモットーに仕事に励んでいて、工場や事務所はとても清潔に保たれていたし、戸棚も引き出しも整頓されて、従業員の人もみんな同じ意識で仕事をしている様子が伺えました。
当たり前のように感じるかもしれませんが、いたるところに努力を垣間見ることができて私はとても嬉しかったし感動しました。
(ただ、工場のプラントごとに同じ説明を受けるのでずっとすごい!の反応をするのが少し大変でした。笑)
5Sマインドがインドを変える
5Sを始めるのはお金がかかります。労力もかかります。
すぐ利益になるわけではありません。
それでもこういう取り組みを続けていけばコスト削減、問題ゼロ、効率化、献身度、顧客満足度などで変化が少しずつ表れているのだそう。
なにより、私が聞いて一番うれしかったのは、従業員の方がこうして5Sのマインドを持つことで、この概念を家族に教え、家族が友達に教え、インド人の間で規律やマナー、モラルができて保たれていくようになるということです。
時間のかかることだけれど、自分たちの手で少しずつインドを変えていくことのできる、影響力のある手段だと思います。
もちろん政府の活動も大切。でもこうして一人ひとりが変わっていくことができるのは一番いいことだと思います。
こういう意識をもった企業が徐々に増え、人々が変わっていくといいな、と経営者の方をはじめとして、社員のみなさんが声をそろえて仰っていました。
ほんとうにそうなるといいな、と思います。
5Sをきっかけにインドは変わる?
以前訪れた企業はそもそも5S以前の問題で、劣悪な環境で火花が散って、臭いもきついのに関わらず、サンダル、軍手、マスク、ヘルメットも一切無い危険な作業環境でした。
これを見たときは本当に衝撃でした。
写真はありませんが、こんなところで働いていいの?え、、、ってなりました。
悲惨。でもこんな企業でもグローバルにビジネスをしています。
こんなの認められちゃいけないと思う。
(顧客訪問の際には、安全装置をつけているので外部には分からないのだと思います。)
あれはほんとびっくりした。
それで安全が一番大切とか言わないでほしい。
なんとかしてでも社員を教育するしかないのに。そのあたりのリスク管理が甘い。
インドの企業の管理体制は世界と比較するとまだまだです。
安全の意識も向上してもらう必要があります。
制服やその他安全のために必要なものをしっかり身に付けてもらわなくちゃいけない。
大きな都市、企業じゃなくても気持ちの問題で、協力し合えば変わっていくことができる。
こういう取り組みをしている会社が世界的にも認められ活躍していってほしいです。
今回の訪問はとても刺激をうけ、感動しました。