India Note|インドの現代を知るウェブメディア

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〜インド経済の光と影〜インドの格差とソーシャルビジネスの現状とは①(概要編)

インド経済の光と影

僕たち日本人にとってインドは”貧困”とか”格差”の印象のほうが強いかもしれません。
その結果、整備や開発が進められる都市部に対し,総人口の7割を占める農村部はその流れからは取り残されているのがインドの現状です。

農村部では特に医療,衛生,教育,電気,上下水道などのインフラが不足しています。
また、都市部においても経済発展の恩恵を受けるている中所得層以上と地方の貧困層には大きな所得格差が存在しています。

もちろん、ITのハブとなっているバンガロールでも、これを目の当たりにしない日はありません。
この2つの格差の存在が、絶対的貧困層と呼ばれる所得(1日1.25ドル未満層の人々)を生み出し、その割合は世界の貧困人口の3割を占めています。
今回は、経済発展が進むインドの影の部分を表す指標となる数値と共にインドに存在する格差の現状をご紹介します。

インド

インドの影を象徴する5つの指標

  • ①乳児死亡率(出生1,000件あたりの乳児死亡率):52人(2008年)
    1970年の127人からは大幅に改善していますが、日本の2.8人(2006年)とは大きな差があります。
    国連開発会議によると子どもの死亡率が高い背景には、貧困による食料の欠如、出産時の母親の健康不良、安全でない水や不衛生な衛生施設、適切な医療サービスの欠如などがあるそうです。
  • ②改善された水源を持続して利用できる人口:88%(2008年)
    こちらの指標もは1990年の72%から2008年には88%に上昇していますが、ほぼ誰でも安全に水を飲める日本と比較すると1億人以上のインド人が安全な水を飲めていないと言えます。
  • ③成人(15歳以上)識字率:66%
    初等教育の完全普及にはまだ遠いようですが、識字率は確実に高まっています。
    インドの教育は地域によって格差があり、教育に力を入れている州では識字率はかなり高いです。
    特に南インドのケララ州では識字率が90%を超えています。

  • ④衛生施設の普及率:49.2%
    インド全体において衛生施設のない世帯の割合は1992年度の70%から1998年度64%,2005年度55.3%と改善し,2008年度には49.2%と低下しているとはいえ,依然としてインド全体の5割の世帯が屋外排便をしています。

    都市部では,1992年度の24%から2008年度の11.3%に低下し,ほとんどの世帯に衛生施設があるのに対して,農村では同期間に87%から65.2%に改善したものの,現時点でも3分の2の世帯に衛生施設がなく,都市との格差は大きいと言えます。
    これにより多くの人々が不衛生に起因する下痢などの病気に苦しめられています。

  • ⑤電化率:55.9%(2001年)
    電化率は1981年の26.2%から,2001年には55.9%に上昇しており,急速に改善しています。
    近年では2006年から2009年にかけて電化率は農村部で56%から67%に上昇し,都市部では93%から94%となっています。
    しかし2009年11月末現在でも,農村(約59.4万村)のうち,無電化村は9.6万村も存在しているのです。

いかがでしょうか?
過去との比較において、徐徐に改善しているものも多いですが、依然としてかなり課題は多い印象を受けます。
しかし、ここインドではそれを改善しようとする志の高い人たちが多くいます。彼らは、幼いころから格差を間近で目の当たりにしながら育ったため社会に対して鋭い問題意識を持ち、また、高い教育の水準を受けているため、それを改善するだけの能力を有しています。
次回は社会問題を解決すべく奮闘する、インドのソーシャルビジネスをご紹介します。

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